哲学を遣って居ます。私に御用の方はお気軽にコメントの記入に由ってご連絡下さい。トラックバックも歓迎致します。


by fishybusiness
カレンダー
S M T W T F S
1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31

<   2005年 03月 ( 1 )   > この月の画像一覧

「御前会議」青年団

平田オリザ氏の主宰する青年団の第48回公園「御前会議」をこまばアゴラ劇場で観劇する。
上演時間は約1時間20分だったが、全く飽きさせることのない、緊張と興奮に満ちた舞台だった。
 
開演時間前から役者が舞台に出入りし、短いセリフを交わすのは平田氏の昔からの手法であるが、やはり客席と舞台の関係を考えるきっかけとなる。
隣に座る友人に話しかけることが、疚しいことをしているような不思議な感覚に囚われる。

舞台装置はリングのようなアーチ型のテーブルとイスのみ。
8人の出演者が向かい合い延々会議をするのが主な内容だが、議題も参加者の身分も不条理である。
いかにも普通のサラリーマン、OL然とした男女が仕事帰りに集まり世間話をするところから照明が消され扉が閉じられる。
参加者の大部分が集まったところで会議は始まるが、駐輪場の整備や賞味期限についてと同列に世界とは何か、人間は何のために生きるのか、来週に迫る宇宙人からの侵略にどう対処するのかということを延々と議論する。
その間にも参加者間での不倫関係が影を落とし進行を妨げる。
しかも彼らは戦争の渦中にある国の、責任ある立場の人々であるようだ。

何もはっきりしない、そのような曖昧な人々の中で、異彩を放つ人物がほぼ中央に座っている。
人形なのだ。
参加者8人のうち7人は役者が演じているが、1人だけは人形が演じている。
マネキンのような人形でなくビニール袋に布を詰めて服を着せただけのような、人に似せる努力をされていない人形である。
他の参加者はその人形を人として同列に扱う。
むしろ一般の(役者が演じている)参加者よりも気を遣いながら、時々どうでもいい話題を振って、あるはずのない反応を注視する。
明らかに天皇のメタファーであり御前会議の由縁である。

率直な感想を述べればとても面白い。
未だに青年団は新しい演劇を創り続ける力を持っていると改めて感じた。
平田氏によって提示された一つの日本人観は議論に値するだろう。
[PR]
by fishybusiness | 2005-03-24 02:30 | 演劇